2024年の全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)で、京都国際高校が初の優勝を果たしました。
この歴史的な勝利は、学校の独特な背景と野球部の努力が実を結んだ結果として注目を集めており、単なるスポーツの勝利を超えて、多文化共生や国際理解の象徴としても受け止められています。
京都国際高校の甲子園制覇は、日本の高校野球の新たな1ページを刻むとともに、社会的にも大きな意義を持つ出来事となりましたが、一方で校歌が韓国語(ハングル)であることでも知られ、優勝後に甲子園で韓国語の校歌が流れて一部で炎上するなどの動きが見られました。
本記事ではその背景を解説していきます。
京都国際高校の校歌が韓国語の理由と炎上した背景
京都国際高校は1947年に在日朝鮮人のための学校として設立され、2003年に日本の一条校として認可されました。
校歌が韓国語であることでも知られ、優勝後に甲子園で韓国語の校歌が流れるという歴史的な瞬間がありました。
京都国際高校が炎上?
#京都国際
偏差値33の甲子園 だけの元朝鮮学校。
①嘘つくハングル校歌
直訳で「東海を渡ってきた大和の地」を「東の海」と誤魔化し、「韓国の学校」を「韓日の学校」と翻訳の嘘をつきながら甲子園で歌う。
②理念を「自らの出自に誇りを持てる人になる」としながら、選手が通名だらけ。意味不明。 pic.twitter.com/XKoGgwFBjT
— 凸子 (@totsugirl) August 14, 2024
京都国際高校の校歌をめぐる炎上については、以下のような背景と論点があります。
この炎上は、単なる言語の問題ではなく、多様性を尊重しつつも、日韓の歴史認識や文化的アイデンティティに関わる複雑な問題を反映しているといえます。
炎上の背景
校歌の言語:京都国際高校の校歌は韓国語で歌われています。これは学校の歴史的背景に由来しており、1947年に在日朝鮮人のための「京都朝鮮中学」として設立されたことが契機になっています。
歌詞の内容: 校歌の歌詞の一部が「反日的」と解釈される表現を含んでいることが批判の対象となっており、特に「東海」や「韓日」という表現が議論を呼んでいます。
炎上の論点
多文化共生vs国家アイデンティティ:学校は「多文化共生」を理念として掲げていますが、一部の人々はこれを日本のアイデンティティを軽視していると捉えているようです。
歴史認識の問題:校歌の内容が日本と韓国の歴史認識の違いを反映しているという指摘があります。
メディアの対応:NHKが校歌の日本語訳を「東の海」と表記したことも批判を受けました。これは韓国政府が主張する「東海」の呼称を日本語訳で変更したものだと指摘されています。
学校側の立場
京都国際高校は、校歌が韓国語であることを学校の歴史と多文化共生の理念の象徴として捉えており、生徒たちは校歌を通じて自分たちのルーツを再確認し、異文化理解を深める機会としています。
韓国語の校歌の歌詞全文
引用:Yahoo!
学校の歴史と韓国語校歌の関係
京都国際高校の校歌が韓国語である背景には、学校の歴史が深く関わっています。
この学校は1947年に在日朝鮮人のための教育機関としてスタートし、韓国語と韓国文化を重んじる伝統があり、これが現在の校歌にも反映されています。
したがって、校歌が韓国語であることは、学校の設立当初から続く伝統を象徴するものです。
これが、日本語や英語だけでなく、韓国語・朝鮮語も学ぶ理由の一つであると言えるでしょう。
多文化共生を象徴
京都国際高校の校歌が韓国語であることは、多文化共生を象徴するもので、この学校は、多様な文化を尊重し、異なる背景を持つ生徒たちが共に学ぶ場となっています。
校歌が韓国語で歌われることにより、学校の理念である「多文化共生」が具体的に表現されているといえます。
多文化共生を実現するためには、異なる文化や言語を尊重し合うことが重要となるため、このような姿勢が、校歌にも反映されているのでしょうね。
日本人・韓国人学生の割合
京都国際高校には、日本人生徒も多く在籍しています。
生徒の内訳としては、2021年3月時点で全校131名のうち日本人が93名、在日韓国人が37名。また、日本人生徒のうち40名が野球部員であった。
また、2021年7月時点では全校136名のうち女子が69名、男子が67名、男子のうち59名が野球部員であった。
引用:ウィキペディア
2021年時点では、全校生徒のうち、約7割にあたる生徒が日本人です。
日本人在校生が多いことは、学校が日本国内にありながらも、国際的な視点を持つ教育を行っていることを示していますね。
また、男子生徒の多くが野球部に所属しているという特徴もあり、このように、多国籍の生徒たちが共に学ぶ環境が整っていることが、学校の特徴の一つです。
京都国際高校の偏差値
京都国際高校の具体的な偏差値は、38~43(2024年時点)です。
京都国際高校は、学校教育法第一条校の資格を有する韓国系の国際学校として知られており、このような特徴から、通常の偏差値評価とは異なる基準で生徒を選抜している可能性があります。
野球部の強さや甲子園出場実績から、スポーツ面での評価が高い学校であることがわかり、学校の特殊性や国際的な教育方針、スポーツ実績などを総合的に考慮して評価していると考えられます。
ちなみに、京都国際高等学校出身の有名人には以下のような方々がいます。
申成鉉:プロ野球選手
曽根海成:プロ野球選手
上野響平:プロ野球選手
釣寿生:プロ野球選手
早真之介:プロ野球選手
中川 勇斗:プロ野球選手
森下 瑠大:プロ野球選手
引用:みんなの学校情報
まとめ
この記事のポイントをまとめます。
✔京都国際高校 甲子園優勝
・決勝戦で関東第一(東東京)と対戦し、延長10回のタイブレークの末、2-1で勝利
・京都勢の優勝は1956年の平安高校以来、68年ぶり
・野球部は1999年に創部され、25年目での初優勝
✔学校の背景
・1947年に在日朝鮮人のための「京都朝鮮中学」として開校
・2004年に学校教育法上の「一条校」となり、現在の校名に変更
・生徒数138人、うち野球部員は61人
✔校歌をめぐる議論
・校歌が韓国語であることが注目を集めている
・優勝後、甲子園で韓国語の校歌が流れるという歴史的な瞬間があった
・校歌の歌詞には「東の海を渡りし大和の地は偉大な祖先古の夢の場所」という内容が含まれている
✔社会的影響
・在日韓国人コミュニティや多文化共生の象徴として受け止められている
・校歌が韓国語であることや、その内容について賛否両論がある
・NHKが全国に生中継で校歌を放送したことも話題となっている
京都国際高校の優勝は、スポーツの枠を超えて、日本社会における多様性や文化的背景の理解を促す契機となっています。
同時に、校歌の言語や内容をめぐる議論も引き起こしており、日本の教育現場における多文化共生のあり方について再考を促す機会ともなっているようです。