2020年11月に発表された「大韓航空とアシアナ航空の合併」は、東アジア航空業界にとって歴史的な変革の一歩として注目されています。
この統合により韓国の二大航空会社が１つのメガキャリアとなることで、航空業界における競争力学が大きく変わると予想されているからです。アシアナ航空の完全な吸収に向けた各国の審査が2024年11月には最終段階を迎えます。
この記事では、大韓航空とアシアナ航空の合併の進捗状況や今後の予想、影響について深掘りしていきます。
合併完了までのプロセス
大韓航空とアシアナ航空は、両社の競争力を高め、東アジアでの競争に勝つための重要な戦略を取ってきました。EUとアメリカの承認がハードルが高く、2024年10月現在、EU当局は条件付きで許可を出し、大韓航空はティーウェイ航空に欧州4路線（パリ・バルセロナ・ローマ・フランクフルト）を移管しする形でその条件を満たしています。
この承認が得られ次第、アメリカ国内でも追従する形で承認を予定しており、11月中にはすべての手続きが完了する予定です。
合併はいつ？
統合が完了すれば、12月には大韓航空が正式にアシアナ航空の株式を取得し、2年間の移行期間を経て完全統合が行われます。この過程を経ることで、両社がスムーズに統合できるよう人員の移行や業務の調整が行われるでしょう。
大韓航空とアシアナ航空の比較
アシアナ航空と大韓航空は韓国の二大航空会社で、それぞれ独自の強みがあります。 以下では、サービス、機内食、安全性、ネットワーク、マイレージプログラム、機材という6つのポイントで比較してみます。
1.サービスの質
アシアナ航空は「顧客満足度」の高さで評価され、フライトアテンダントの丁寧な接客やホスピタリティが特徴です。 洗練された上質な接客が特徴で、ビジネスやファーストクラスでの高い評価も多く、ビジネス層の旅行者に支持されています。
2.機内食と韓国料理の提供
アシアナ航空は、韓国料理「ビビンバ」など、地元色豊かなメニューが豊富で、機内で韓国の食文化を楽しめる点が魅力です。大韓航空も韓国料理の提供に力を入れ、和洋折衷の多国籍料理も揃っており、特にビジネスクラスやファーストクラスでの料理の豪華さが特徴です。
どちらも機内食に高い評価がありますが、韓国らしい伝統料理を重視するならアシアナ航空、食事の選択肢を求めるなら大韓航空でしょう。
3.安全性と運航実績
両社とも高い安全基準を維持していますが、世界的な安全評価でも常に高評価を受ける大韓航空は、最新鋭の機材導入と危機な維持体制で特に安全性の向上に力を入れています。アシアナ航空も安全面での取り組みを重視しており、事故の少なさが評価されています。
4.ネットワークとアクセスの利便性
大韓航空は広範な離脱ネットワークを持ち、特にアジア、ヨーロッパ、アメリカなど豊富なフライトを提供しています。 特に仁川国際空港をハブに利用することで、乗り継ぎが便利です。
アシアナ航空も、アジア・北米に多くの路線を持っていますが、大韓航空に比べて少し路線が制限されるため、より多くの路線を求めなら大韓航空が便利です。
5.マイレージプログラム
両社のマイレージプログラムには違いがあります。 アシアナ航空の「アシアナクラブ」は、提携航空会社の利用や座席アップグレードに柔軟に対応しており、スターアライアンスが加盟してしています。
大韓航空の「スカイパス」も同様にマイルが簡単になり、提携航空会社のフライトで利用できる上、スカイチームの参加で特典の利用範囲が広くてお得です。
6.機材と設備
大韓航空はA380やB787など最新の機材を揃えており、全クラスで快適な機内環境が提供されています。アシアナ航空もA350などの最新機材を導入し、特にエコノミーでの生存性が評価されていますが、機材の新しさでは大韓航空が若干優位です。
アシアナ航空は「温かみのあるサービス」「韓国の味覚の提供」に秀でた航空会社で、韓国らしいホスピタリティを重視したい人に適しています。一方、大韓航空は「プレミアムなサービス」「広範なネットワーク」 「最新設備」に強みがあり、ビジネス利用や長距離の移動に最適です。
客室乗務員はどうなる？
合併後の移行期間をスムーズにするため、大韓航空とアシアナ航空は2025年に乗務員の交換乗務プログラムを開始する予定です。これは、異なる機種（A350やB787など）を持つ今後の経験を共有するためにも重要とされており、このような取り組みにより、合併後の体制が構築され、業務の統合が進められます。
韓国航空業界への影響と日本への見解
韓国国内での二大キャリアの合併は、日本の航空会社にとっても良い展望と捉えられています。 特に、両社のネットワークが統合されることで、アジア地域の基盤も強化されるため、アジア諸国の航空業界に対する競争力が増大すると予想されます。
また、価格競争力や路線網の拡大により、日本の旅行者にも選択肢の増加が期待されますが、同時に日本の航空業界も競争せざるを得なくなると予想されます。
大韓航空とアシアナ航空合併のメリットと今後の展望
この合併が実現することで、大韓航空はアジアでの一大利益となり、国際的な立場も向上すると見られます。 アシアナ航空との連携による相乗効果で路線の効率化やサービスの統一が図られるただでなく、顧客にとってさらに魅力的な航空サービスが提供されるでしょう。
また、待ち時間のコスト削減や効率の向上も見込まれ、長期的には収益性の向上が期待されます。
一方、アシアナ航空は、合併から2年間は独立したブランドとして大韓航空で運営されますが、その後完全に吸収され、1つのブランドとして統一される予定で、移行による混乱を考慮しているとされています。
合併による未来のアジア航空市場
大韓航空とアシアナ航空の合併は、アジアの航空業界の未来に大きな変化をもたらします。このメガキャリアの誕生により、アジア地域での競争が激化する方、サービスや選択肢が増えることで、旅行者にとっても新たなメリットが得られることでしょう。
合併に伴う様々な進捗の中で、韓国発の航空サービスの着実な成長と、アジアにおける航空業界全体の進化が期待されています。
