韓国で兵役に行かないとどうなる?罰則や免除条件を解説

韓国で兵役に行かないとどうなるか基本を解説 韓国社会
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「韓国の兵役は必須なの?もし行かないとどうなるんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか。

インターネットの知恵袋などを見ると、この制度がなぜなくならないのか、中には日本のせいだとする意見まで見られます。また、兵役免除の条件や、実際に免除された人はいるのか、特に一人っ子やスポーツ選手の扱いはどうなっているのかも気になるところです。

この記事では、これらの複雑な疑問について、一つひとつ丁寧に解き明かしていきます。

  • 兵役を拒否した場合の厳しい罰則
  • 病気や家庭の事情による兵役免除の条件
  • 軍種によって異なる兵役期間と服務内容
  • 芸能人やスポーツ選手の兵役特例

韓国で兵役に行かないとどうなるか基本を解説

韓国で兵役に行かないとどうなるか基本を解説

  • 制度がそもそもなぜなくならないのか
  • 兵役は必須か知恵袋でのQ&A
  • 兵役期間と兵役で何するかの実態
  • 兵役の給料は日本円でいくら貰える?
  • 衝撃的な兵役アイドル死亡の噂とは

制度がそもそもなぜなくならないのか

韓国で徴兵制度がなくならない最も大きな理由は、韓国と北朝鮮が現在も「休戦」状態にあるためです。

1950年から始まった朝鮮戦争は、1953年に休戦協定が結ばれましたが、これは戦争が完全に終わったことを意味する平和条約ではありません。そのため、法的にはまだ戦争が続いている状態であり、常に国防のための兵力を維持する必要があるのです。

大韓民国憲法第39条では「すべての国民は法律の定めるところにより国防の義務を負う」と定められており、これが兵役の法的根拠となっています。この国防の義務は、納税や教育と並ぶ国民の三大義務の一つと位置づけられています。

ポイント

韓国の徴兵制度は、北朝鮮との軍事的な緊張関係が続く限り、国家の安全保障を維持するために不可欠な制度として存続しています。

実際に、世界には徴兵制度を維持している国がいくつかあります。それぞれの国が抱える地政学的なリスクや歴史的背景が、制度存続の理由となっています。

徴兵制度がある国の例
国名 主な理由
イスラエル 周辺国との緊張関係
スイス 永世中立を維持するための国民皆兵制
台湾 中国との軍事的緊張
ノルウェー 地政学的な理由とNATOへの貢献

このように、他国の例を見ても、国家が安全保障上の脅威に直面している場合に徴兵制が維持される傾向があります。韓国の場合は、南北分断という世界でも類を見ない特殊な状況が、制度を必要不可欠なものにしているのです。

兵役は必須か知恵袋でのQ&A

「兵役って、病気とかがあっても絶対に行かないといけないの?」
知恵袋などのQ&Aサイトで、頻繁に見かける疑問です。結論から言うと、韓国人男性にとって兵役は原則として必須ですが、誰にでも一律に課されるわけではありません。

法律では、特別な事情がない限り、すべての健康な成人男性が兵役の義務を誠実に遂行しなければならないと定められています。これは国民の義務であるため、個人の意思で「行きたくない」と拒否することは基本的に認められていません。

ただし、兵役義務を果たすことが困難だと判断される場合には、免除や代替服務といった例外措置が設けられています。これは、入隊前に行われる厳格な徴兵検査によって判断されます。

徴兵検査による判定

徴兵検査では、身体的健康状態や精神状態が1級から7級までに判定され、その等級によって服務内容が変わります。

  • 1級〜3級:現役兵として入隊
  • 4級:補充役(社会服務要員など)
  • 5級:戦時勤労役(有事時のみ動員)
  • 6級:兵役免除
  • 7級:再検査対象

このように、健康上の理由などで現役服務が難しいと判断されれば、公的機関で勤務する社会服務要員になったり、完全に免除されたりすることもあります。したがって、「必須」ではあるものの、個々の状況に応じた柔軟な対応が取られているのが実情です。

兵役期間と兵役で何をするかの実態

兵役期間と兵役で何をするかの実態

韓国の兵役と一言で言っても、所属する軍種によって服務期間は異なります。また、入隊後の生活は、厳しい訓練と規律正しい共同生活が中心となります。

軍種別の服務期間

2025年現在、主な軍種の服務期間は以下の通りです。これらの期間は、国防政策の見直しによって変更されることがあります。

服務形態別の服務期間
服務形態 服務期間
陸軍・海兵隊 18ヶ月
海軍 20ヶ月
空軍 21ヶ月
社会服務要員 21ヶ月

多くの場合、最も期間の短い陸軍に配属されることが一般的です。

兵役中の服務内容

入隊すると、まず約5週間の基礎軍事訓練を受けます。ここでは、軍人としての基本的な姿勢、銃の扱い方、行進、体力トレーニングなど、軍隊生活の基礎を徹底的に学びます。

基礎軍事訓練を終えると、それぞれの部隊に配属され、本格的な任務が始まります。任務内容は多岐にわたります。

主な任務内容

  • 戦闘兵科:歩兵、砲兵、機甲など、直接的な戦闘任務を担います。
  • 技術・行政兵科:通信、整備、補給、調理、運転、医療など、部隊の運営を支える後方支援を行います。
  • 特殊任務:語学が堪能な場合は通訳兵や駐韓米軍で勤務するKATUSA(カトゥサ)になったり、DMZ(非武装地帯)の警備を担当したりすることもあります。

服務中は、厳しい軍事訓練だけでなく、各自に与えられた役割を責任をもって遂行することが求められます。この経験を通じて、忍耐力や協調性が養われると言われています。

兵役の給料は日本円でいくら貰える?

兵役期間中も、軍人として国から給料が支給されます。しかし、その金額は一般的な社会人の収入とは大きく異なり、あくまで義務服務に対する手当という位置づけです。

給料は階級によって異なり、韓国政府は兵士の処遇改善のために年々給料を引き上げています。以下は2024年の階級別月給の目安です。

2024年 階級別月給の目安
階級 月給(ウォン) 日本円換算(目安)
二等兵 600,000ウォン 約60,000円
一等兵 800,000ウォン 約80,000円
上等兵 1,000,000ウォン 約100,000円
兵長 1,250,000ウォン 約125,000円

※為替レートは1ウォン=0.1円で計算

注意点

この給料は年々改善されていますが、兵役によってキャリアが中断される若者への対価としてはまだ十分ではないという意見も根強くあります。

一方で、政府は兵役中の兵士を対象とした高金利の積立預金制度「将兵明日準備積立預金」を設けています。多くの兵士がこの制度を利用して、除隊後の社会復帰や学業復帰のための資金を準備しています。給料の大部分をこの積立に回し、除隊時にまとまった金額を受け取るのが一般的です。

衝撃的な兵役アイドル死亡の噂とは

「兵役に行ったアイドルが死亡した」という噂が、時折インターネット上で見られます。このような衝撃的な情報は多くの人の関心を引きますが、結論として、有名アイドルが兵役服務中に死亡したという公式な報道や確かな事実はありません。

では、なぜこのような噂が生まれるのでしょうか。その背景には、韓国軍が抱えるいくつかの深刻な問題があります。

噂が生まれる背景

  • 軍隊内でのいじめや暴行:残念ながら、上官からのパワハラや同僚間のいじめは存在し、これが原因で自ら命を絶ってしまう兵士がいるのは事実です。これらの痛ましい事件が、尾ひれがついて「アイドルの死亡説」に繋がることがあります。
  • 訓練中の事故:厳しい軍事訓練の中では、銃器の誤射や装備の不具合による事故が起こる可能性もゼロではありません。
  • 情報への不安感:閉鎖的な軍隊という環境に対する人々の不安感が、不確かな情報を生み出しやすくしている側面もあります。

ネットフリックスのドラマ『D.P. -脱走兵追跡官-』が軍隊内のいじめ問題をリアルに描き、韓国社会に大きな衝撃を与えたことからも、この問題の根深さがうかがえます。

したがって、特定の有名アイドルが死亡したという噂は事実無根である可能性が非常に高いです。しかし、兵役という厳しい環境の中で、若者たちの心身の安全が常に脅かされているという問題提起として、これらの噂を捉える必要があるかもしれません。

韓国で兵役に行かないとどうなる?免除と罰則

韓国で兵役に行かないとどうなる?免除と罰則

  • 最新の兵役免除の条件について
  • 実際に兵役を免除された人の一覧
  • 兵役免除と一人っ子やスポーツ選手の関係
  • 兵役が日本のせいと言われる理由

最新の兵役免除の条件について

兵役が原則必須である韓国ですが、服務が困難だと認められる場合には免除、あるいは軽い服務に代替されることがあります。その判断は、徴兵検査での身体等級判定によって厳格に行われます。

兵役が完全に免除されるのは、身体等級判定で「6級」と判定された場合です。これには、軍生活が不可能と判断されるほどの深刻な疾病や心身の障害が含まれます。

主な免除・代替服務の条件(身体的理由)

  • 身長・体重:極端な低身長(140cm以下など)や過体重・低体重(BMI指数が基準を大きく外れる場合)
  • 視力:矯正しても視力が非常に低い場合
  • 持病:気胸、骨腫瘍、がん、うつ病などの精神疾患、てんかんなど、治療が必要な深刻な病気

また、「5級(戦時勤労役)」と判定された場合も、平時の服務は免除され、有事の際にのみ後方支援などの任務に動員されます。これには、孤児や性転換者、特定の犯罪歴がある者などが含まれます。

近年では、兵役を逃れるために故意に体重を増減させたり、病気を装ったりする行為が社会問題化しており、兵務庁は検査をより厳格化する傾向にあります。正当な理由なく兵役を拒否したり、不正な方法で免除されたりした場合は、厳しい処罰の対象となります。

兵役逃れの罰則

正当な理由なく兵役を拒否した場合、兵役法に基づき1年以上3年以下の懲役刑が科される可能性があります。実刑判決を受けると、兵役の義務はなくなりますが、前科がつくことになります。

実際に兵役を免除された人の一覧

厳しい兵役義務ですが、これまでにも様々な理由で免除された芸能人がいます。彼らの事例は、どのような条件が免除に該当するのかを知る上で参考になります。

以下は、公に免除理由が報じられている主な芸能人の一覧です。

兵役を免除された主な芸能人とその理由
氏名 職業 免除理由
ペ・ヨンジュン 俳優 低視力(現在は回復)
チャン・ドンゴン 俳優 気胸の手術歴
ソ・イングク 歌手・俳優 骨軟骨病変
ユ・アイン 俳優 骨腫瘍
キム・ウビン 俳優 上咽頭がん
パク・ヘジン 俳優 うつ病・対人恐怖症
チョ・ジョンソク 俳優 生計維持困難
チョン・ウソン 俳優 低学歴(高校中退)※現在は学歴基準廃止

これらの事例を見ると、俳優であっても身体的な病気や、家庭の経済的な事情など、やむを得ない理由によって免除されていることがわかります。

ただし、過去には兵役逃れと見なされ、世間から厳しい批判を浴びたケースもあります。兵役は国民の義務という認識が非常に強いため、免除理由の正当性については社会から厳しい目が向けられるのです。

兵役免除と一人っ子やスポーツ選手の関係

兵役免除と一人っ子やスポーツ選手の関係

「一人っ子だから」「スポーツで活躍しているから」という理由で兵役が免除されるという話を聞いたことがあるかもしれません。これらには、特別な規定が存在します。

一人っ子の場合

結論から言うと、現在では「一人っ子であること」を理由に兵役が免除されることはありません。

過去には、家族を扶養する者がいなくなるという理由から、2代以上続く一人息子などが免除の対象となる制度がありました。しかし、少子化が進み兵役資源が減少したことなどから、この規定は1990年代に廃止されています。

スポーツ選手や芸術家の場合

こちらは現在も特例が存在します。オリンピックで銅メダル以上、またはアジア競技大会で金メダルを獲得したスポーツ選手は、「芸術・体育要員」として兵役を代替することが認められています。

芸術・体育要員の代替服務

現役兵として入隊する代わりに、4週間の基礎軍事訓練を受けた後、自身の専門分野で活動しながら、規定の奉仕活動を行うことで兵役義務を果たしたと見なされます。これにより、選手生命を中断することなくキャリアを継続できます。

この制度は、国際的なコンクールで上位入賞したクラシック音楽家や舞踊家などにも適用されます。しかし、大衆文化のアーティスト、例えば世界的に活躍するK-POPアイドルなどは、この特例の対象に含まれていません。BTSの兵役問題が国会で議論されるほど大きな話題となったのは、この制度の公平性をめぐる問題があったためです。

兵役が日本のせいと言われる理由

「韓国の徴兵制度は日本のせいだ」という意見を、インターネット上などで見かけることがあります。これは非常に複雑な歴史認識が絡む問題であり、客観的な視点で理解する必要があります。

この見解の根底にあるのは、日本の植民地支配がなければ、朝鮮半島の分断は起こらず、結果として徴兵制度も必要なかったのではないかという考え方です。

歴史的な流れを簡潔に追うと、以下のようになります。

  1. 日本の植民地支配からの解放後、朝鮮半島はアメリカとソ連によって南北に分割占領されました。
  2. 米ソの冷戦が激化する中で、南北それぞれに別の国家(大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国)が樹立され、分断が固定化しました。
  3. この対立が、1950年の朝鮮戦争へと発展しました。

この流れから、「分断の根本的な原因は日本の植民地支配にある」と捉え、その結果として生まれた徴兵制度も「日本のせい」と考える人がいるのです。

補足

これはあくまでも数ある歴史解釈の一つです。朝鮮半島の分断は、第二次世界大戦後の国際政治や冷戦構造、そして朝鮮半島内の政治対立など、様々な要因が複雑に絡み合って起きたものであり、単一の原因に帰することはできません。

このテーマは非常にデリケートであり、感情的な議論になりがちです。WEBライターとしては、どちらかの立場に立つのではなく、「このような歴史的背景から、そういった見方が存在している」という事実を客観的に伝えることが重要になります。

韓国で兵役に行かないとどうなるかの結論

  • 韓国の成人男性にとって兵役は憲法で定められた国民の義務である
  • 兵役制度がなくならない最大の理由は北朝鮮との「休戦」状態が続いているため
  • 正当な理由なく兵役を拒否すると兵役法に基づき懲役刑が科される
  • 個人の意思で兵役を拒否することは原則として認められていない
  • 兵役期間は陸軍・海兵隊で18ヶ月、海軍で20ヶ月、空軍で21ヶ月が目安
  • 服務内容は基礎軍事訓練の後、戦闘兵科や後方支援など多岐にわたる
  • 兵役中の給料は階級に応じて支給されるが一般社会の収入よりはるかに低い
  • 兵士の処遇改善のため給料は年々引き上げられる傾向にある
  • 徴兵検査の結果、6級と判定されると兵役が完全に免除される
  • 免除の主な理由は深刻な病気や心身の障害である
  • 過去には芸能人が病気や家庭の事情を理由に免除された事例が多数ある
  • 一人っ子であることを理由とした兵役免除制度は現在廃止されている
  • 五輪メダリストなど一部のスポーツ選手には代替服務の特例がある
  • 兵役逃れは社会的に厳しく非難され、発覚した場合は処罰の対象となる
  • 「兵役が日本のせい」という意見は歴史認識に根差した一部の見解である
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